流木さん

私は、流木に強く惹かれている。
それは、生まれた場所が海の近くだったこともあるのかもしれない。
幼い頃によく海岸で、石や流木、貝殻などを拾っていた。

もちろん、惹かれる理由はそれだけではない。

この流木はどこから来たのか。県内?県外?国外?
どれだけ漂流していたのか。漂流してすぐ?遠く大陸から何年もかけて?

そして、外見も千差万別であるところも大きな魅力だ。
荒波にもまれて、角が取れて丸くなっているものもあれば、虫に食べられ穴だらけのもの、
焼け焦げて真っ黒になっているもの、貝殻が付着しているもの

表面の色は、灰色、黒色、白色などのアースカラーが中心だが
一番驚くことは、「木」の持っている生命力だ。

外側は、漂流している間に色も抜けてしまっているが、ひとたびその内側に刃物を入れてみると、
その木材の持つ本来の色が顔を出す。

さらに驚くことに、木材の持つ芳香も漂ってくるのだ。

この生命力には、純粋に感動する。

そのエネルギーをそのまま表現した作品が「流木さん」だ。
森で生まれ、漂流という名の修行を終え、最後に辿り着いた祈りの姿がそこにある。



外は漂流の記憶、内は森の魂。
時を超えて、今、仏となる。

荒波に削られ、灰色に風化した外側。
しかし刃を入れれば、驚くほど鮮やかな命の色と、
森の香りが息を吹き返す。
この生命の強さと優しさを、仏という形に託す。

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Miyabow

福井 作品数:727

1980年石川県生まれ。国立高岡短期大学で木材工芸を専攻。2000年卒業、家具工房に就職し3年間勤務の後、酒蔵に転職し7年間蔵人として過ごすが、脳性麻痺の男性…