ポーチ　ハコベ・・・「何とかなる！大丈夫！」の呪文・・・

　ダイヤドミナという、グリーン系のモヘアの入った段染め糸で、ストールを編んでいたら、春霞の中咲いているハコベが見えた。ストールと合わせて、ハコベのバッグをセットアップで揃えたら絶対可愛いと思い、まず、試し編みでハコベのポーチを編みました。ベースが、モヘアの入った糸なので、毛糸がふわふわしていて、触った感触も良い。葉っぱは、少し太めのツイードヤーン でと思い、ソフトドネガル のグリーン系の糸を選びました（廃盤色です）。花の部分は、シェットランドで。裏地は、V&Aの「ジャスミン」で。仕上がりは、イメージ通りでした。見ていると、ハコベたちが、「何とかなるよ。大丈夫だよ」と囁いているような・・・。ホント、何でハコベって優しいんだろう。元気と安らぎをくれるポーチです。
　ポーチのハコベたちを見ていたら、すでに天国に召された友人たち（私より15歳以上年が上の方たちがほとんどです）の顔が目に浮かびました。みんな、苦労苦労の連続だった人たちばかり。でも、誰一人として、「私は苦労ばかりしている、私は不幸な人間だ」とは言わなかったなぁ。私が、「苦労するねぇ」と言うと「もっと苦労している人を私は知ってる。こんなの苦労のうちに入らない」と笑っていたなぁ。みんな、困難に出会うと、辛さも苦しさも涙も、ありのままさらけ出して、苦悩しながら受け入れて、笑顔を取り戻していたなぁ。そうやって、ありのままの、おそらく他人から見たら、愚かで、醜いと思われる姿でも、私に、さらけ出して見せてくれたから、私も、自分の弱さを恥ずかしいと思わず、さらけ出すことができるようになった。みんな、弱くて、強くて、人を人とも思わない人には、ちょっと意地悪で、そして、とても優しかった。ハコベみたいな人たちだった。だから、ハコベを見ると、ハコベたちが「何とかなるよ。大丈夫だよ」と言ってくれるのかなぁ？ハコベが持っている不思議な呪文、「何とかなる！大丈夫！」。　
　私も、アラ還のおばちゃんになり、若い時には、ちょっと事件が起きると、「もう駄目だ」と弱音を吐いてドツボにはまって落ち込んでいたけど、いつしか、「何とかなるよね」へと思いが変化し、今では「何とかなる！大丈夫！」と自然に言えるようになった。そして、「今度はどんな展開になるだろう？」と、何かあっても、しばらくジタバタしてから、落ち着いて、楽しむ余裕もできた。そうやって年を重ねていくんだなぁと思う。そして、みんなに、「何とかなるよ。大丈夫！」と言うようになるんだなぁ。何だか、持っていると安心するポーチになりました。しみじみして、ゆったりした気持ちになって、元気をくれるポーチです。
　バッグの試し編みで、ダイヤドミナを40％off価格で計算したお値段です。お裁縫が苦手な私の腕も加味しています。お気に入りの作品に仕上がりました。

《使用糸》 ダイヤドミナ（国産）　ウール50％　モヘア（キッドモヘア）21％　ナイロン29％
　　　　　シェットランド（英国羊毛100％使用）　ウール100％
　　　　　ソフトドネガル（廃盤色）　ウール100％　イギリス製
《裏地》 V&A （ジャスミン）コットン100％
《ファスナー》YKK 国産