ポーチもしくはペンケース　冬に向かって咲くたんぽぽ（ブリティッシュエロイカバージョン）

　最初冬物を出すのは、10月からにしようと思っていたのですが、私の心はすでにもう冬仕様。そんな訳で、冬糸でたんぽぽのポーチや、バッグなどを作り、9月からアップすることに。「冬にたんぽぽなんて咲くの？」と言われそうですが、そこはほれ、「シークレットガーデンは何でもあり」なのでよしとすることに。でも、ちょっと枯れた感じのたんぽぽを表現したかった。そこで、ひたすら、糸探し。糸の問屋さんからいただいた糸見本帳を見てもイメージ通りの糸がないので、ネットでしらみつぶしに調べて、野呂英作の「くれよん 」にたどり着いた。ここ２〜3年、ミックスヤーンや、段染め糸を編み込み部分に使うことにハマっていて（ベースにミックスヤーンや、段染め糸を使うのもマイブーム）、その流れで、たんぽぽの花も段染め糸にしようと。春夏糸の、ミックスヤーンのザンビアプリントという糸 でたんぽぽの花を編み込んだ時に、いい感じの仕上がりになったので、最初は冬糸でザンビアプリント に似た糸はないかと探していたのですが、なかなかなくて、ネットの「くれよん 」の色見本を見て、「どう色が出るか冒険だけど、とりあえず買ってみよう」と、糸を10玉一袋注文。糸が届いて見てみたら、思っていたより黄土色から茶色が多い段染め糸だった。少し、黄色が入っているので、バッグを編む時この糸で遊ぶのには良さげだなと。そこでバッグを編む時の試し編みでポーチを編んでみた。最初、ベースがソフトドネガル という、ツイードヤーン でポーチを作ってみた。結構可愛くできた。次に、ベースがブリティッシュエロイカで編んでみた。それがこのたんぽぽポーチです。たんぽぽは、野呂英作の「くれよん 」のイエロー系で。葉っぱの部分も野呂英作の「くれよん 」のグリーン系で。糸の太さと、模様の関係から、結構でかめの横長ポーチになるなぁと思い、編んでみたらやっぱりそうなった。「くれよん 」の糸もいい感じの色の出具合。「これ、ペンケースとしても使えるかも？」と。丈は短いのですが、底が広いので、いつも作っているポーチと同じようにも使えるし、文房具入れとして持ち歩いても可愛い。「ふむ、気に入った」と。縁編みも、たんぽぽの花芯もブリティッシュエロイカで。とりあえず、仕上げてみることに。裏地は、お手頃価格の生地なのですが、お気に入りのものです。右腕と右肩が痛い痛いと言いながら、せっせと針仕事。仕上げてみたら、思っていた以上に可愛い。「ホント、何でたんぽぽってこんなに可愛いんだろう？」と、自画自賛。しかもウールなので、もふもふの毛糸の編み地を触っていると、幸せな気分になる。ライナスの毛布みたいなのかなぁ？いつまでも触っていたくなる感触です。しかも、編み込まれているのは、お気に入りのたんぽぽです。絶対ハッピーになれる！裏地も合わせてお花畑にいる感じ。
　ちなみに、私のたんぽぽ好きは、父方の祖母との思い出が原点です。私の本当の祖母は、満州で亡くなっているので、祖母と言っても血のつながりこそないけれど、多分、孫の中で私が一番可愛がられていたと思います。なぜなら、私は子どもの頃から変わっている面白い子どもだったから。「お前は本当に変わっていて面白い」と祖母からよく言われた。祖母は変わっている子どもや、ぶっ飛んでいる子どもが大好きだったのです。変わっているとか面白いとか言われて、得意になって褒められたと思う私は、やっぱり変わっていたんだろうなぁ。
　私は、小学3年生ごろから、夏休みになると一人で電車に乗って2時間ほどかけて、三陸の海の側の祖父母の家に遊びに行っていたので、私と祖母しか知らないことがたくさんありました。
　祖母は、生け花の教室を開いていたのだけど、祖母の家に遊びに行くと、お稽古で残った花を、好きなように生けさせてくれた。ある時、竹を素材にしたお稽古の後、残った竹を「生けてみろ」と言われ、子どもの私は、「カタツムリと生けたら絶対可愛い。竹の上でカタツムリが動いて、面白いオブジェになる」と、近所の神社に行って、カタツムリを６匹ぐらい捕まえて、花器の剣山に竹を刺して、竹の上にカタツムリを乗せて、これを祖母が見たら絶対褒めてくれると思って「おばあちゃん、見て〜」と言って祖母に見せたら、「こら〜お前は何をする！」と怒られて、「早くカタツムリを捨ててこい」と怒鳴られた（後になって知ったのだけど祖母は、虫や、小動物が苦手だったのです。花は死ぬほど好きな人なのに）。味噌汁のだしの取り方を教えてくれたのも祖母。フィンガー5が流行っていた頃には、「もっと、ちゃんとした音楽を聴け」と、渡されたアルバムは「サウンドオブミュージック」（フィンガー5はそれはそれで私はいいと思うけど。いつも和服の祖母と「サウンドオブミュージック」が結びつかなかった。モダンだなぁと）。祖母の家に飾られていた絵（画集から切り抜いたのか？）は、ムンクや、モディリアーニ。特に祖母は、ムンクの「思春期」の絵が好きだった。
　祖母は、決して美しい容姿ではないけど、心の可愛い人だった。無骨のようで繊細で、本当の優しさを持つ、不思議な人だった。そして料理を作るのがとても上手だった。筋金入りの強さと、たくましさと、そしてなぜか脆さもあわせ持つ人だった。「おばあちゃんって、強くて、たくましくて、でも本当は繊細なたんぽぽみたい」と（勝手に自分でたんぽぽのイメージを作っています）、いつしか私は思うようになりました。私のたんぽぽ好きは、祖母から来ています。そして、今では自分の姿をたんぽぽに投影するようになった。「たんぽぽのように生きよう」と、、、。祖父母の家はいろんな事情が絡み合った家だったけど、祖母は私を信頼し、信じていて、「お前なら何を話しても大丈夫だから」と、いろんな事情を話してくれた。祖母が子どもの私を信頼し、信じてくれた経験があったから、大きくなって、思春期を迎えて悩み事が多くなって、自分に自信がなくなっても、最終的に、自分を信じて、様々な問題を乗り越えてくることができたのだと思います。子どもの時に自分を信頼し、信じてもらえたという体験をするのは大事だなぁと今にして思います。でも、もし今、自分を信じてもらえない、ありのままの自分を受け入れてもらえないと悩んでいる人がいたら、大丈夫。一生懸命生きていれば、必ずあなたを信じ、受け入れてくれる人に出会えるから、心配しないでくださいね。
　ああ、また話が脱線してしまった。いかんいかん。毛糸で編んだ、お気に入りの作品に仕上がりました。冬糸なので、使える時期が限られるかと思い、また、お裁縫が苦手の私の腕も考慮して、お値段を少しお安くすることに。たんぽぽ好きにはたまらないポーチです（話が脱線してすみません）。ちなみに、今回アップした作品で使用している「くれよん 」の糸は、グリーン系も、イエロー系も同じものです。ロングピッチの段染め糸のため、色の出方が違います。世界で一つだけの作品です。

中にエアクッションを詰めて撮影しています。

《使用糸》 ブリティッシュエロイカ（英国羊毛50％以上使用）　毛100％　
　　　　　野呂英作「くれよん 」　毛100％
《裏地》 国産　綿100％
《ファスナー》YKK 国産