絶え間なく変化しながら流れていく水の流れは、見る者に生命感を感じさせます。

古語に「たゆたう」という言葉がありますが、運動そのものだけではなく、

状況や見る者の感性までも引き連れて連想させるような言葉という印象があります。

モノサーカスの作品は、時として具象的であったり、抽象的であったりします。

この作品で私たちが挑戦したのは「たゆたう」という言葉が連想させる様々なイメージを、何とかあるカタチにまとめあげるという課題です。

「たゆたう」という言葉が見つかったのは幸いなことでした。

ちょうどこの作品を製作していた時に生命とは何かを問う生物学の本を読んでいて、その中で見つけたのです。

そして、言葉が照らすヒントを頼りに製作を進めていきました。

コンピューターによるカタチの設計の作業は、とても計画的なものですが、

今回の場合はそういったアプローチでは上手く行きません。

計画的な作業とは、あらかじめ答えを見つけて進めていく作業ですが、

今回の作品は、複雑であらかじめ決まったカタチをイメージすることはできませんでした。

そういった時に頼りになるのは、「手」です。正確には手と目と頭の共同作業です。

最近になって、仮想空間上で、目の前にある粘土を造形するように、

より制作者の感性をダイレクトにカタチに反映できるようなモデリングのスタイルが確立され始めました。

この作品は、そういったテクノロジーを利用して、作家の自由な感性をうまく引き出せたのではないかと思っています。

モノサーカスの新たなエピソードをどうぞお楽しみください。


上部分の幅: 6.3 cm、内径（横）: 5.5 cm、 内径（縦）: 5.5 cm、ギャップ幅: 2.5 cm