或る日の物語（教会2）

心象風景や花などをモチーフに木工（主にヒノキ材）を使って
水彩+クリア塗装で表現しています。
全て手作業で制作しています。

私はこんなシナリオを考えました。


それは日差しがあるのに雲が低く垂れこめる
少し変わった日の出来事なのです。

私は少年の姿になって小高い丘の上の町を眺めていました。
ついさっきまで鳥の鳴き声や遠くの風の音が聞こえていたのに
突然すべての音が止んで、次の瞬間、私は門の中に立っていたのです。

不思議な事なのに、まして初めて来た場所なのに
何故だか少しも不安な気持ちはしないのです。
それどころか懐かしさすら感じているのです。

私を出迎えてくれた茶褐色の石組みは、
それはもうずっと前からそこに在って、
まるでもう自分ひとりでは立っていられないとでも言いたげに
身を寄せ合っています。

そしてその上にはおそらく堅牢な城（いや砦なのかも知れない）
が築かれいつしかその役目を終えて
今は教会になっているのです。

そうしてたくさんの時が過ぎ、その白壁はあちこちで漆喰が剥がれ落ち
レンガの下地が露わになってしまっているのですが、

私にはその姿が『美しい』とさえ思えているのです。

しばらく何も聞こえなかったのですが、微かに、でも、
それはゆっくりと、少しずつ大きくなって聞こえてきます。

何だろう？・・・歌？

一瞬にして心を持って行かれてしまうような
美しいその旋律を聞きながら
少年になった私は石段に腰かけて足元を通る風に訪ねてみます。

「ここはどこだい？」

すると風はこう答えてくれました。

「さっき遠くで君の歌声を聞いていたんだ。」


或る日の物語
大きさ（約）　高さ 13センチ
　　　　　　　奥行 11センチ
　　　　　　　 幅　 8センチ

※受注後に制作します。10程度頂きますが、お急ぎの場合はご相談ください。
できる範囲で対応いたします。

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