【素材について】

素材は、ガラ紡や手紡ぎした綿糸（自家製のもの、購入したもの）、
その他良質のコットン、リネンや絹などを使用しています。
染めは天然染料のみで、綿の性質と相性のいい藍をよく使用しています。
作品ごとに素材を記載していますので、興味を持っていただけたら幸いです。


【ガラ紡について】

「ガラ紡」とは、明治時代の日本で開発された機械で
ゆっくりしたスピードで紡がれる綿糸です。

一般的に、製糸や製織の過程を効率化するためには、
高速化してどうしても糸に負担をかける形になります。
そのためには糸の繊維を引っ張り、撚りを強くかける必要があり、
伸ばし過ぎると硬く伸縮性の少ない木綿糸になります。
できた布は硬くてしわになりやすくなります。

ガラ紡糸は、繊維を無理に伸ばさず棉本来の自然な縮れを生かしているので、
空気を多く含んで、ふんわりとしています。
初めから使い込んだ布のように柔らかいのにしっかりしていて、
しわになりにくい布ができます。
細い部分と太い部分のムラが大きく、その意味でも手で紡いだ糸に限りなく近い糸です。

ただ、紡績の糸に比べるととても繊細なので扱いには少し根気が必要です。
極端に太い部分や細い部分を選り分けたり、
撚りが甘いので織っている途中は切れやすかったり。
扱いに手間がかかる分、いつもの綿布とは思えないような
柔らかい手触りの布を織ることができます。

地元、愛知県三河地方（豊田市など）を中心にひところ盛んに生産されましたが、
現在国内で作っている所は数えられるほど。
その中で個人が良質で好みの糸を手に入れることがだんだん難しくなってきました。
とても貴重な糸です。

ちなみに名古屋駅からほど近い「トヨタ産業技術記念館」で
実物が稼働しているところを見ることができます。
その他にも製糸・織技術が発展していく様子が展示されていて
とても興味深い博物館です。
個人的には、ぜひ見に行かれることをお勧めします！