いい ちいさな ものづくり

自然本来の姿から価値を削り出す。木の個性をそのまま生かす、ShozuShikkoの木製食器

ー作り手

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匠頭漆工(しょうずしっこう)は創業以来70年以上、毎日毎日“木”と向き合い、挽き続けてきた石川県加賀市山中にある木地屋です。

石川県内の漆器の3大産地の一つである山中温泉地区では、古くから「山中漆器」と呼ばれる漆器が作られています。漆器づくりは、山師(やまし)と呼ばれる山を育てるプロから始まり、荒挽き屋、木地屋、塗師屋の手を経てやっと一つの器が出来上がります。その過程の中で、ShozuShikko (匠頭漆工)さんは木地師として、漆を塗る前の木を削り出し器を形作る工程に携わってきた歴史をお持ちです。

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木が持つ木目や節の美しさ、自然本来の色味、温かみは一つ一つ違います。私たち人間が一人一人違うように、木も一つとして同じものはないのです。

ShozuShikkoさんの器は、すべて国産の木を使用した純国産です。作品の印象は「木、そのもの」。その温もりと存在感から、直に自然に触れているような感覚になります。

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また、木の節やあざなども個性として捉え、そのまま作品として扱っていることも特徴です。節やあざがある木は製品にするには嫌われ、これまで廃棄されてきましたが、それらすべてを含めて木の姿であり、自然の姿だという事を共有したいという想いがあるそうです。

1本の木から削り出したワイングラス「IPPONGI」

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5種類の形と6種類の木種の中から、好きな組み合わせを選ぶことができる「IPPONGI」。和洋どちらにも合うグラスは、様々な使い方が出来る個性豊かなラインナップ。卓越した技術をもってして生まれる優雅な曲線美に、木目や色合いの美しさが引き立ち、ほのかに自然が香ります。

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また、木地肌を活かしたクリアなナノグラスコートで仕上げ、手入れをしやすいのが使い手とっては嬉しいポイントですね。

金継ぎが施された、幸運を呼ぶ器「mebuki」

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木の節に表情として金継ぎを施したのが「mebuki」。それまで破棄されてきた木材に、価値のある美しさを与え、世界に1つの存在だということが際立つ器です。芽節があるからこそ、新しい芽が出て成長する木。節はなくてはならない存在だと気づかせてくれます。

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また、「芽吹く」は、幸運が巡ってくるという意味もあるそうで、赤ちゃんの誕生、入学、結婚など、人生の新たな門出にぴったりです。

先代から受け継がれてきた思考と技術の結集「shokyu」

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先代の久保出政雄さんが立ち上げたのが「shokyu」木という自然素材の雄大さや美しさを伝えたい、という想いが込められた器たちです。その展開は、お椀やお箸、お皿や湯呑みなどさまざま。

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「shokyu」でも、割れ、虫穴がない限り、芽節も独特な木目も一つの個性として活かしています。取れた木から無駄なく材料として使う事が、木と寄り添い生きてきた人のあるべき姿だ、という考えのもと、ひとつひとつの木と向き合いながら、それぞれに合う形に削り出されていきます。

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また、木と使い手が長く付き合える関係を考えるShozuShikkoさんでは「磨き出し」というサービスを行っています。「磨き出し」とは、使い込むことで出来た傷や色褪せを表面を磨くことで再生する手入れの方法。器を通して、私たちにも木を大事にし続けることができるのだと教えてもらっているようです。

ーものがたり

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ShozuShikkoさんは、1946年に初代であり先代である久保出政雄さんが久保出木芸を立ち上げたことから始まります。

長年、木地屋一筋で漆器業界の下支えしてきましたが、近年木地屋全体の後継者不足が問題となっています。自社製品を作る事で、商品を通じて多くの方々に木地屋という職業がある事を知って頂き、認知して頂く事で問題の解決に近づくのではないかと考え、自社ブランドを立ち上げ、ショップを始めました。

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木地師の作業は常に緻密で、高い技術が必要。木と対話しながら、伝統的な技術と独自の乾燥技術や、鉄鋼旋盤という量産を可能にした轆轤(ろくろ)挽きという現代の技術を融合させてきました。

しかし、数ある職人による多工程の間に埋もれ、木地師や、その繊細な製作工程を知る人はあまり多くないのが現状です。

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そんな状況の中、2018年に「IPPONGI」「mebuki」「shokyu」の3つの独自ブランドを立ち上げられます。

匠頭漆工では培ってきた技術、知識、経験をフルに活用し、「木」を一人でも多くの方々に手に取って頂き、毎日の生活に寄り添えるような“身近”で“毎日の”器づくりを目指しています。この実現に向けて、木素材そのものの質、単価やデザイン、使い方など多角的に新しい取り組みを進めています。

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なかでも「mebuki」は、三代目である久保出貴雄さんの疑問から生まれたブランドです。

それまで「挽きづらい」「節から割れが入りやすい」などの理由から多くの木が廃棄処分になっていましたが、「なんでこんなに木を捨てているのだろう?」というシンプルな疑問から、芽節を1つの表情として捉える発想が生まれたのだそうです。

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一方で、二代目の久保出章二さんは「60年この仕事一本で来ましたが、今でも日々新しい発見があります。もっともっと木を活かした商品をたくさんの人にお届けできたらと、今でも勉強中です。」と仰ります。今まで培ってきた技術、経験、知識に満足することなく、木との対話を続けながら、木が活きるものを作る探求は、きっと終わりがあるような次元の話ではないのでしょう。

ー想い

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木を育てる。木で育つ。毎日木に触れ、長年向き合ってきた私たちだからこそ、伝えたいことが沢山あります。木を想うことは自然を想うこと。自然を想うことは自身を想うこと。木という素材そのものを「知る」ことを通して、私たちの根幹である日本や日本の歴史、文化などの魅力や重要性を再認識するきっかけを作りたい。

木という自然素材と共に歩むことを真正面から受け止めるShozuShikkoさん。
すべての根源は、「木」の自然素材としての本来の魅力と、木地屋の存在そのものを一人でも多くの人に知って欲しい、という想いです。

ワンプレート&パン皿

木のことを想う長い営みから作られたShozuShikkoさんの器からは、日本という豊かな自然の中に生きる温かみ、美しさ、潔さ、力強さ、を学ぶことができます。ぜひ実際に手に取り、日常の中で自然と共に生きることを感じ取るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

ー作り手情報

2021年6月3日


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