いい ちいさな ものづくり

染色家の室山雅さんによる「寄せ桜」プロジェクト 〜能登への心の支援〜

石川県珠洲市の雄大な自然から生まれる、草木染の繊細な色。「染雅-some.miyabi-」の室山雅さんが染める糸には、珠洲への愛と自然を尊ぶ気持ちが詰まっています。能登半島地震で自身も被災しながらも、地域の支援につながる活動を続けています。自然と共にものづくりに励む室山さんのストーリーと、彼女が立ち上げた能登への心の支援、「寄せ桜プロジェクト」をご紹介します。

澄み切った自然の色を届けたい。

小さな頃から色が好きで、色から音を感じていました。青色に惹かれるようになり、藍染から染め物に興味を持ちました。大学生の頃、私が生まれたときに母が植えてくれた桜を眺め、桜染めを思い立ちました。そこから染色家としての道を歩み始めました。

私にとって草木染は自然とつながるためのもの。染料となる植物の栽培もしています。特にこだわっているのは澄んだ色。染めた後に、とにかく洗い流し、残った色だけを届けるようにしています。

自然の美しさを求め、珠洲へ移住

能登に移り住んだのは21歳の時。日本の四季の移り変わりや、自然の原理の上に生きていたいと考えていて、日本中を旅して珠洲に行き着きました。珠洲は三方が海に囲まれ、太陽と月が海から昇り、海へと沈んでいきます。水と光が絶え間なく動き、ずっと協奏曲の中にいるような調和のある色々な音がして、みずみずしく鮮やかで美しい。ここしかないと思いました。


そして、能登半島地震で。

2024年元旦。珠洲市内の日本海側で染色工房をオープンしたその日に、能登半島地震が起こりました。隣町で友人といる時に揺れだし、その日は車で一晩過ごしました。夜が明けて珠洲に戻る道中、視界に入ってくる景色はぐちゃぐちゃでした。

私自身も被災者ではありますが、できることからしようと支援活動をはじめました。染色家として水の扱いには慣れているので、多くの人の助けを得ながら、地域の方々が使えるランドリーを設置しました。ランドリーは地域の方々のコミュニケーションの場になっていきました。

大変な営みではありましたが少しずつ心に余裕が生まれ、そんな時に、支援物資としてお花が届きました。

お花を贈る、心の支援

支援物資として届いたお花に、地域の方々も喜んでいました。被災地での生活は日々目の前のことに追われ、季節の移り変わりを繊細に感じる暮らしとはかけ離れていますが、お花を飾ることで季節を感じることができました。そして何よりも、支援が引いていき、自分たちが世の中から忘れられているんじゃないかと不安に思っている中、心を寄せてもらえることが嬉しかったのです。

お金の支援は重要です。しかし、心の支援も同じくらい大事だと強く感じ、草木染をする私だからできることはないかと考えました。そこで生まれたのが「寄せ桜プロジェクト」です。

寄せ桜プロジェクトと支援方法

「寄せ桜プロジェクト」は珠洲の方々に、新しい季節の象徴である「桜」と支援の「心」を届けるものです。

珠洲に大切な人がいるのに、遠方から赴くことができず歯がゆい思いをしている、という声も聞きました。能登に観光で訪れたことのある方もいるでしょうか。

ぜひ大切な人や思い出の地を想って「桜」と「心」を寄せていただけたら嬉しいです。

■支援方法
下記のボタンより「寄せ桜プロジェクト支援金」のご購入をお願いします。お支払いいただいた後、送付先をご案内するので、あなたの土地の「桜」を珠洲に送ってください。届いた桜は花瓶に挿して珠洲の方々に贈ります。また、桜の一部は草木染に使い、染めたストールやハンドウォーマーを被災地の方々に贈ります。

「寄せ桜プロジェクト」を支援する

染雅-some.miyabi-さんの作品

2024年4月4日


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