#20 MION ナミキミオ(ジュエリー作家)

2012.11.20

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澄みきった空気が広がる秋晴れの午前、
ジュエリー作家のナミキミオさんのアトリエへお邪魔しました。
玄関ではナミキさんの愛犬クーイが賑やかなお出迎え。
富士山が一望できるお部屋には、絵画、雑貨、茶器など、
ナミキさんのセンスが光る素敵なインテリアの数々。
作り手としてたくさんのインスピレーションが湧いてくるような
清涼感のあるお部屋で、いろんなお話を伺いました。

ミオはやっぱり、ものを作る人になったね。

小さい頃からものを作るのが好きでした。というのも、両親ともにDIY 好きで、土日はそれぞれ何か作るのが当たり前。今座っているベンチも父が作ったものですし、履いている靴下も母の手作りなんです。物心ついたときからそういう環境にいたので、ものを作ることは自分にとって普通のことでした。その影響か、私もいろいろ自分でものを作るのが好きで、フィルムケースを使って立てておけるメッセージカードや、豆本なんかを作ったりしていました。親元を離れてからも何かしら作っていたのですが、ジュエリーだったら自分で身につけられていいなあ、と。そんな中、友達と中目黒のボタン屋さんに行ったとき、思い立って初めてニッパーとペンチを買ったんです。今思えばそれが始まりでしたね。そのときは商売にする気は全然なかったんですけど。正式に“MION”としてブランド化して始めようと思ったのは2010 年です。 継続的にアクセサリーを制作していて、ネット上でも自分でお店を持てれば、お客さんとの関係も見えてくるし、気に入ってくれればどんどん見に来てくれる。それがすごく楽しくて、自分でもちゃんとお店を持ってみようと。それでブランド名が必要になったんです。私の名前の「MIO」と名字の頭文字「N」を足して、「MION」と名付けました。今の自分は昔からの友だちに言わせると、“やっぱりミオは、ものを作る人になった”ということみたいですね。図工も好きだったしねって。

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身につけてもらって、始まる。

作品を作る上で大切にしていることは、「余白を作ること」でしょうか。アクセサリーは買っていただいて終わりではなくて、身につけてもらって初めてスタートする。商品単体というよりは、洋服に合わせてつけてもらって「可愛いね、素敵だね」という感じを目指したい。だから少し余白を残して、完成品ではない雰囲気、引き算して作っています。MION のアクセサリーは一見、派手に見られがちですけど、実はすごくシンプル。清く、さっぱり、でも存在感は出す。微妙なバランスをとりながら作っているんです。それと、やはりアクセサリーは「人」につけてもらうものなので、身につけたときにどう栄えるかを意識しています。散歩しているときや電車に乗っているときも、あの人はこんなジュエリーが似合うなとか、あの人の首元は少し寂しいかも、なんてことを考えて、浮かんだアイデアはこまめにノートに記しているんですよ。私は神保町の画廊にしばらく勤めていたのですが、毎日作品を見ることで、たくさんのインスピレーションを受けた気がします。その画廊はモダンからコンテンポラリー、シャガールやピカソと、いろんな作品を扱っていました。最初の頃は抽象が好きだったのですが、そのうち具象も好きになって…。アクセサリーを作り始めた頃は「三角」の図形をモチーフにしたものばっかりを作っていました。今でも三角は定番のものとして作っていて、三角といえばMION という風になれたらいいですね。

真鍮と樹脂が好き。

定番品の他にシーズン毎にテーマを設定して、それに合わせた作品を作っています。今期のテーマは「ヴィンテージ」。テーマの設定はあまりガチッと決められたものではありませんが、基本的にはそのときの流行というか、空気みたいなものに影響を受けている気がします。トレンドと向き合って作ることでお客さんとの距離も近づけますし、自分もファッションが好きなので自分が着たいものに合わせて作るというのもあります。毎回、来期はどうだろう、どんなテーマがいいんだろうと考えると、とても世界が広がる気がするんですよ。新しい素材にチャレンジしたくなったり。素材は、真鍮と樹脂が好きで使うことが多いですね。真鍮は、使えば使うほど味が出てくるのが気に入っています。樹脂はすごく奥が深いのでいろいろチャレンジできるのですが、タイヘンなことも。樹脂は、混ぜて、捏ねて、伸ばして、型をとって、オーブンで焼くのですが、捏ねる作業がすごく固くて一苦労なんです。夏だと少し捏ねれば柔らかくなるのですが、寒くなってくるとすぐに固くなっちゃって。どうやって均等に薄く伸ばせるのか、最初の頃は特に試行錯誤しました。今では均等に延ばせる機械を使っているので、だいぶ楽になりましたけどね。制作するのはもっぱら家です。資材もどんどん増えてくるし、機械が必要だったりで、家の中の一部屋を工房として使っています。作業時間は夜中が多いかな。ただ、樹脂の色を作るときや、真鍮を磨くときは、日中に自然光が入るときにやっています。注文が立て込んだときは8 時間、9 時間と没頭してやってしまう感じです。気がついたらこんな時間か、みたいな。全然苦にならないんですけどね。そういう意味でも天職かなと思います。

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世界の裏側でばったりMION に会いたい。

MION が目指すところ。本当にビジネスとしてやっていくことを考えると、日本だけでなく、海外も視野に入れていきたいですね。もっと広く。たとえば世界の裏側にMION が旅立って、MION を身につけている人とばったり街中で出会いたい。池袋では会ったんですよ。さすがに声はかけられなかったですけど。でもすごく嬉しかった。そういった感激が世界規模で味わえたら…本当に最高ですね。それと、始めた当初は大きなセレクトショップに置いてほしいとかあったのですが、自分のテイストやイメージが固まってくると、それは少し違うかなと思い直しました。どこにでも置いてあるということではなくて、ここに置いてあるのがMION らしいというような。今は自分が好きなミュージアムショップとか美術館系に置いてもらいたくて、あちこち走り回っています。それから、iichi を通して営業のお問い合わせもあったりするんですよ。先日は京都のギャラリーから連絡があって、うちで扱わせてくれないかというお話をいただいて。そこは美大に通う学生さんがよく来られるそうなので、喜んで置かせていただくことになりました。最近MION での活動の他に、イラストレーターの「そで山かほ子さん」とコラボレーションして、「CAHON」というブランドを立ち上げたんです。私も彼女も、お互いのセンスが好きで2人で何かやろうって。今、ブローチを作り始めたのですが、2人の作り手が重なると、自分の想像を超えた面白いものができるんだなと、新鮮な喜びを感じているところです。

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売ってくれる人がいる。その先にお客さんがいる。

私が作ったものを売ってくれる人がいて、その先にお客さんがいて…それがモチベーションになっています。たくさんの人が協力してくれている。そして、何度もリピートしてくれるお客さんがいる。それが何より嬉しい。「あ、またこのお客さん買ってくれたんだ。気に入ってくれたんだ」って。新規のお客さんは緊張したり、感想コメントはなかったけどリピートしてくれたりとか。その人たちのために続けなきゃいけないと思うし、そもそもやめる気はないですけど、もっともっといいものを作って今までのお客さんにもう一度買ってもらって、さらに満足してもらいたいですね。そしてお客さんには、MION を楽しんで使っていただきたいと思います。お客さんの中には、もしかしたらいつも決まったジュエリーがあるかもしれない。お守り的な感覚でいつも身につけているものもあると思います。MION はそれとは別の感覚で、テンションが上がったり、ハッピーになったり、血色が良くなったり、その日の気分で付け替えたり、も っとファッションを楽しむ感じで気軽に身に付けていただければなと思います。



ナミキミオ

Mio Namiki

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