#01 中川彩香(バッグデザイナー)

2011.5.28

海と山のあいだで。小さなミシンがつくりだす鮮やかな世界。

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海と山に囲まれた小さな町。南窓の日当たりのよい部屋。愛用の小さな白いミシン。 中川彩香さんは自宅の部屋をアトリエにしている。

去年、渋谷で個展を開きました。でも普通に絵を飾ったり、アクセサリーやバッグを売ったりするだけじゃなんだかつまらないなって思って、ギャラリーをアトリエに変えちゃった。ミシンも持ち込んでお客さんと話しながらその場でつくったり。ギャラリーの外から覗くと、お店なのかな? 部屋なのかな?って感じ。家にお招きした感じでお茶を出したりして。楽しかったなあ。

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中川さんはイラストレーターとして活躍するだけでなく、アクセサリー、小物、バッグなど自作のイラストをもとに刺しゅうを施した様々な手仕事も手掛けている。よくモチーフに登場するのは、花やキノコといった植物、そしてカラフルな蝶や愛らしい動物たち。

自然のモチーフはずっと昔から。住んでいたところには、近くに山と海があったから。そんな環境で育ったので自然とモチーフになっていきました。生まれ育った環境ってすごく影響していると思う。

小さな頃から絵を描くことが好きだったんですか?

両親とも広告関係の仕事をしていました。だから、つくる、描く、そういうことはとても自然なことでした。
大学ではテキスタイルデザインを学びました。少人数でとても厳しい授業だったけど、糸から織り上げていくことや、「絣(かすり)」などの伝統的な手法も学べてとてもよかった。でもやっぱり描くことが大好きだから、みんなが机の上でパターンをつくっている最中に、床の上にクレヨンでバーっと動物の絵を描いて、それをシルクスクリーンで刷ったりしてました。そんなこと誰もやってなくて、先生もとても驚いていましたね(笑)。
卒業後はバッグメーカーに就職したのですが、自分で好きなものをつくる時間が少なくなってしまって。会社も楽しかったし好きだったんだけど。好きなものをつくる時間や、何より「つくりたい」と思う気持ちがなくなるのがいちばん嫌だったから。

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午後の柔らかな日差しが差し込んできた。中川さんのミシンがゆっくりと音を立てて動き出した。ペイントで描かれた蝶が、色とりどりの糸の刺しゅうをまとって、陽の光の中で輝きだす。

はじめに布にアクリル絵の具でペイントして、ミシンで刺しゅうをします。360度くるくると布をまわしながら、かたちを描いていく。自分でもどうなるのかってワクワクしながら。手で描くことは慣れていて上手にできるけど、ミシンを使って描くことで、まるで鉛筆を使いたての小さな子どものような新鮮な感覚をいつも感じながら描けるんです。
つくっていると、いつも子供の頃を思い出すような気がします。ただただ夢中になって描いていたあの頃のことを。

これからはどんなものを創りたいですか?

私、「つくること」が好きなんですよね。デザイン、裁断、ペイント、刺繍、縫製。ぜんぶひとつひとつ自分の手でやってる。だから同じものはひとつもないんですよ。 これからも、ただ「つくり続けること」としか答えられないな。私にとっては息をするようなものだから。それに、楽しそうなことが見つかったら、すぐやりたくなっちゃう性格なんです。誰かと出会うことで、その会話の中からつくりたいものも自然に生まれてくることも好き。そういう風にして、いろんな人に出会いながら私なりにつくり続けていきたいな。

中川彩香

Ayaka Nakagawa

1975年、神奈川県生まれ。多摩美術大学デザイン科染織デザイン専攻卒業後、バッグデザイナーを経て独立。 アクリルペイントの上にミシン刺しゅうを施した、独特の作品を葉山の自宅兼アトリエで創作。 雑誌の挿絵、装丁、オリジナルバッグ & 小物ブランド「Conejo(コネホ)」を手がけている。

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