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申静恵 申静恵

制作も暮らしも“Back to Basic”に。【iichiギャラリーインタビュー】

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カリフォルニア・サンフランシスコ在住、ジュエリー作家のKent Mikaさん。ジュエリーブランド『lily&co.』として活動されています。(旧:『MKJewelryDesign』) 

6月25日(木)より、iichiギャラリーでもMikaさんの個展『ひとつの石の物語展』をご紹介しています。そちらもごゆっくりお楽しみいただきつつ、今回のインタビューでは美しいジュエリーの背景にあるMikaさんの思いや制作との向き合い方、サンフランシスコでの暮らしについてお話を伺ってきました。


ジュエリー作家になるまで


Mikaさんはどんなきっかけでジュエリー制作を始められたのでしょう?

日本にいるときは東京で美容師をしていました。美容師は仕事として楽しんではいたけれど、忙しくて自分の生活のことは全くできていない毎日で。そのまま続けていくこともできたかもしれませんが、「何か違うな」と感じてもいました。
そんな時に今の旦那さんとの出会いがあって、カリフォルニアへの移住を決めました。彼は環境、人間関係、ライフスタイル、自分自身、全てにおいて常に「もっと良くなる方法はないか」と追求している人で、その影響もあって私自身も変化を自然に受け入れられたのかもしれません。

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いざカリフォルニアに行ってみると、持て余すほど時間がありました。当時はニワトリも飼っていたし、庭で育てた野菜を使って料理をしたり、天然酵母を育てて小麦を挽いてパンを作ったり、暖炉に入れるための薪割りをしたり…。身の回りのことを何でもやってみました。
初めてジュエリーを作ったのもその延長線だったような気がします。欲しいものの形が具体的に浮かんでいたので、ワイヤーで作ってみたんです。まずは必要そうな道具を揃えて、足りない道具は家の中にあるもの(胡麻すり棒とか…)で代用しながら作っていました。


ジュエリーを作ってみて「あ、これだ」と感じましたか?

「これだ!」というよりは、「こういうものが作りたい」という具体的なイメージが次々に浮かんできました。
「このデザインが作りたい」と思ったら、色んな方法で試作を作ってみます。手探りで一番いい方法を見つけていくんです。そうしていると、こういう槌目が作りたいからこんなハンマーが要るな、と欲しい道具も次々と出てきて、そのたびに揃えていきました。
出来上がりを見て「元のままの方がシンプルでよかった」と手放すことも多くあります。ただ、作ってみるからこそイメージを形にする方法が分かるし、元のデザインの方がいいなと知る機会になるのでそれはそれで新しい発見です。

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仕事と暮らしと環境


カリフォルニアはどんな土地なのでしょう?

都市と自然が共存している土地です。気候は年中春のようで、世界的にも『最も多くの種類の植物が生息する土地』と言われています。家のすぐ裏が森なので庭には時々タヌキやリスや七面鳥もやってきます。都市のサンフランシスコへは車で20分くらい。大きな港があって、橋があって、坂道が海に向かって走っていて、その景色が地元の長崎にもよく似ていて、大好きな場所です。

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どんな一日を過ごされているんでしょうか。

キッチンと庭の間にアトリエがあって、制作はそこでしています。アトリエと庭はすぐ行き来できるようになっていて、庭ではいつも犬がひなたぼっこをしています。庭には小鳥も沢山飛んできます。花の蜜を吸うハミングバードや、シカもたまに遊びに来ます。雨の日はBob Marleyを聴いたり、ジャズのレコードをかけてみたり、ただ自然の音を聴きながら作業したりもします。
作り始めると没頭してしまうのですが、「今日は◯時まで」と時間を区切って、仕事と暮らしのバランスを取ることは心がけています。そうする事で作業にもより集中できるし、家事や夫婦の時間もリラックスして楽しく過ごせてるんじゃないかな、と。仕事以外のところでの新しいアイデアの発見も多いですね。

アメリカへ来て本格的に始めたヨガと、最近習っている生け花も好きな時間です。ヨガは自分を『今ここに』戻してくれます。当たり前のようにいる『今』が当たり前でないことをいつも教えてくれます。生け花の「空間をデザインする」感じや、花のない空間にこそ世界の奥行きを見つける感覚も、今自分に新鮮な気付きを与えてくれています。

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素材の発見。ナチュラルダイヤモンド/ゴールドについて


扱われているナチュラルダイヤモンドはMikaさんにとって特別な素材ですか?

ナチュラルダイヤモンドに出会ってからはそれが私のジュエリーの主役になりました。
自分の作りたいジュエリーのイメージが『Organic, Sophisticated, Elegant, Artistic, One of a kind, Natural, Quality, Luxury』にたどり着いた時、このナチュラルダイヤモンドがまさにぴったりだなと思ったんです。
4C(Cut, Clarity, Carat, Color)で計るダイヤモンドとはまたひと味違います。個性を全面に出したユニークなダイヤ達はどれが良い・悪いというより、どれが好きか・嫌いかという人それぞれの価値観で選ぶことができます。
カットは主に『ローズカット』という、上から見るとバラの花のように見えるカットのものを使用しています。それぞれ独自のカラーやインクルージョン(内包物)があったりして、曇り空と太陽の下や、朝と夜でも光りの種類でまた違った表情を見せてくれます。

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ダイヤモンドの仕入れはまず何も考えずに「いいな!」と思うものを全部集めて、その中から「この石はこんなデザインに」「これはリングに!」とそれぞれを固めていきます。選ぶのは早いですね。ただ全部は買えないので、選んだものを減らす作業が大変です。笑
ジュエリーになると14kゴールドの色味を反映してダイヤの印象が変わるので、仕上がりは自分にとってもいつも新鮮です。石自体の個性を活かすよう、デザインはシンプルなものにしています。でも全て手の仕事なので毎回シンプルに作っても出来上がりには微妙な違いがあります。
例えるなら、普通の波縫いでもミシンでダダーーッと完璧にまっすぐ等間隔に縫うのではなくて、ひと針ひと針を針の角度や布の張り具合を調整しながら手縫いしてる…というような感じです。その完璧でない部分もまたひとつの味と思ってもらえたら嬉しいですね。


「伝える」ことについて


ウェブ上が活動の主体となっているMikaさん。「伝える」ことはどのように工夫されていますか?

石の形、厚み、色、カラット数など、お客様によって探しているもののイメージや気になることもそれぞれ違うと思います。ご自身のことを色々話してくださって「選んでください」とお任せいただく場合もあります。誰もが私のジュエリーを気に入るわけではないし、「届いたらやっぱり違った」というのは可能性としてはあることなので、どんな方にも求めている情報が事前に届くように文章を書くことは心がけています。

私自身も手で作られているものが好きだし、何かを買うときにはどんな人が・どこで・どうやって作っているのか知りたいと思っているし、そういう視点でものを見ます。だからプロフィールにはジュエリーと全然関係のないような自分の背景についても書いています。ショップを見る方に、私のこともできるだけ知っていただきたいし、私もそれぞれの方が持っているこだわりや好きなものを聞かせてもらえたらいいなと思っています。

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ショップの感想を拝見していると、コミュニケーションが多く、とてもフラットにやり取りをされているような印象があります。

私が一番やりたいことは誰かに喜んでもらう事、その中にlily&co.があるのだと思います。人とのつながりが好きなんです。だから一生懸命作ったジュエリー、どんな方が着けてくださるのだろうと毎回興味津々です。

昔は食べるものも着るものも、自分の知っている人が目に見えるところで作っていた時代があったし、だからこそ身に着けるもの、口にするものを大切にすることが当然のこととして意識されていたはずです。それはとても自然な事。ものと情報の量に疲れた今だからこそその基本に立ち返る時だと感じています。自分の身近にあるものを大切にすることは人を尊重することだし、それは命を大切にすることにも繋がっていると思います。

1つ1つ手で作りながらそのことを実感として感じ、手にする人にもそんな気持ちが少しでも伝わるといいなと思っています。そして私もlily&co.を通して出逢えたお客様から常に何かを吸収したいと思っています。

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今後のこと


今後どのように活動していきたい、というイメージをお持ちですか。

今春活動名を“MKJewelryDesign”から“lily & co.”に変えました。ユリの花(lily)が持っている“simple beauty” (シンプルな美しさ)、“purity”(ピュア)という意味が好きでこの名前に決めました。東京で一緒に暮らしていたネコの名前でもあります。

今後は制作や活動の枠を拡げることで、もっと何かの役に立てられないかと考えています。生まれ育った長崎で一緒にジュエリー制作ができる仲間を見つけたいと思っています。また会社として活動していくことで、長崎という土地に何か貢献できることがあればと考えています。私は動物が大好きなので、それを中心としたチャリティ活動も7月の展示会から少しずつですがスタートさせます。詳細やご報告はブログやlily & co.ウェブサイトに記載予定です。

『誰かに喜んでもらいたい』。それは今後もずっと変わりません。「ジュエリーを作ること」が私の目的の全てではないので、もし誰も喜ばないのならジュエリー作りはやめるでしょうね。その時々で自分自身にできることを通じて、周りに何かいい影響を与えることができたら私も嬉しいし、その倍以上のいい影響をもらうんだと信じています。



lily&co. 展示会開催のご案内

【期間】2015月7月24日(金)~7月26日(日) 12:00-18:00
【場所】サイト青山  詳細はこちら


(撮影:MADOKA AKIYAMA)
(風景・アトリエ写真提供:Mikaさん)
この記事は2015年6月25日に作成されました

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