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銅の板をたたいて形づくる鍛金の美しさ

こんにちは、藤本あやです。

このインタビューは、「iichi presents 湘南ものづくりトーク」というラジオの番組内で伺ったお話を元に連載しています。

毎回、湘南エリアで活躍されている作り手の方をお呼びして、ものづくりに関するお話を伺っていきます。iichi presents 湘南ものづくりトークについて、詳しくはこちら(過去の放送もお聴きいただけます)
前回のインタビューページはこちらです。

今回のゲストは「WATO」 の小笠原加純(オガサワラ・カスミ)さんです。鍛金作家として活躍されている小笠原さんに「鍛金」の魅力や作品ができるまでを伺ってみました。ぜひ、ラジオと合わせてお楽しみください。

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本日のゲストは鍛金作家として活躍されている「WATO」の小笠原加純(オガサワラ・カスミ)さんにお越しいただきました。
早速ですが「鍛金」という言葉はあまり聞き慣れない言葉ですよね。どういったものなんでしょうか?

そうですよね。まず「鍛金」という文字ですが、鍛えるという字に金属の金と書いて「たんきん」と読みます。金属の板を叩いて鍛えて形づくっていくという日本の伝統工芸のひとつです。その技法を用いて、ものづくりをしています。

本日は小笠原さんの作品もお持ちいただきました。外側は銅をベースに銀のメッキが施されています、内側は朱色の漆塗りの器。金属と漆という普段は相反しているような素材でつくられています。こちらの美しい姿の器は、どうやってつくられたのでしょう?

ありがとうございます。まずは、銅の板を叩いて丸い形をつくっていきます。しかし一気には今の形にはならないので、最初は真っ平らの銅板を大きなハサミで切って、バーナーで「なます」と言うのですけれど、熱して赤らめて冷やしていきます。こうすることで金属に熱が加わり柔らかくなります。それからこんこんと叩いて形をつくっていきます。1回では形にならないので、繰り返し繰り返し金属を叩くことを行っています。

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私が形をつくった後に、富山県高岡市のメッキの職人さんに着色をお願いしています。その後、石川県の山中の漆塗りの職人さんに塗りの仕上げをしていただいています。そういった旅をした後で私の手元に帰り、ひとつの作品になっています。いろんな人の手をかけながら作品をつくっています。

器はいろんな人の手に触れながら旅をしてきているのですね。飲み口に触れたときの感触も良さそうですし、美しい模様も特徴的だと思います。模様の出方の違いはどうつくられていますか?

どちらも金鎚の跡なんです。つやつやで滑らかな部分も、模様のような部分もそれぞれ違う金鎚の跡で表情が出ています。金鎚の表面を艶のある形にした部分で叩くと艶が出ますし、わざと金鎚に傷をつくったもので叩くとその跡がついて変わります。

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ご自身だけでなく、他の職人や作り手とのコラボレーションも行われていると伺いました。作り手は一人でつくるという方も多いと思うのですが、一人だけではなく誰かとつくる作り方や作風となったのは、なぜでしょうか?

私のベースは金属で鍛金ではあるのですけれど。それだけに留まらず、漆やガラスなどにも興味がありました。同じものづくりをする中で違う素材を扱う方と一緒に何かをすると、自分だけではできないこともできるし、その作家さん一人だけではできないことも一緒につくっていけるというか。
今は何でも簡単に手に入りますし、安く量産されているものを買えますけれど、それとは違う物が提案できるんじゃないかなという思いがありました。

確かにそうですよね。大量生産が決して悪いという意味ではないですけれど、いろんな作り手の方と一緒につくることで、職人や手仕事の良さを感じていただけるといいですよね。
学生時代には、フィンランドでも学ばれていたのだと伺いました。フィンランドでの体験は今の作風につながっていますか?

はい、1年間フィンランドに留学していました。「行けるときに行っておこう」と思い、学生時代に交換留学の制度を活用して行ってきました。フィンランドではデザイナーや作家、職人というカテゴライズがないですし、そこをとっぱらって「物をつくることに対して向き合っていく姿勢」というのを感じていました。

自分自身が「日本人なんだな」というのを、物をつくっていく中で改めて感じるようになりました。つくったものを見てくれた現地の友人から「日本人っぽい」と声をかけてもらうこともありました。「日本人の私だからできるもの」というのも発信していけたらいいなと思うようになりましたね。

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日本の魅力や自分自身を再発見する時間、いいですね。今後は鎌倉に工房ができるんですよね?

はい。鍛金を始めたのは、もう10年以上前なんですが、その頃に何となく10年後には自分の工房を持ちたいな、つくろうと漠然と思っていました。最近になって、やっと自分の工房ができるんだという喜びを感じています。工房は夏の完成を予定していて、今は解体から始めているので、リノベーションという形になると思います。それも楽しみでもあって夏の完成を目標にしています。

「鍛金」という言葉には新鮮な響きがあります。小笠原さんの中では、どんな「こだわり」を持ってつくられていますか?

鍛金と初めて出会ったときに、私も「何だろうこれは?」と思ったんです。金属の板がこんな形になるんだという驚きがありました。つくり初めて1年くらいした頃に大学で先生に褒めていただいて楽しくなったんですね。そこからあっという間に、こんなに時間がたっていました(笑)。

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私は、つくることしかできないんですけれど、鍛金というものがないと私でなくなるというか。
今でこそ、つくって誰かの手に届くことで、作品がお嫁にいくんだという感覚があります。使ってくれる人の顔を想像しながらつくる喜びや、使ってもらえるということを素直に嬉しいと喜べるということは、自分にとっての成長という気がしています。

それまでは、「自分が喜んでないのに、人様が喜ぶ物をつくれる訳がないじゃないか」という思いがありました。とにかく自分がまず、これがいいんじゃないか、美しいのではないかというものを追求しようと思って10年くらい携わってきました。

大学を卒業して2〜3年くらい、全く金属を叩くことがなってしまった時期もあります。そうなると友人にも会いたくなくなるんです。当時は「何をやっているんだろう、わたし」という気持ちにもなりました。金属を扱って物をつくっていないと、わたしでは無くなってしまうのだと思います。

他の異素材を扱う作り手さんとコラボレーションをする時や、職人さんとお話しているときも、「私はこういった思いをベースにつくっている」というようなバックグラウンドを持っていないと一緒にものづくりをしちゃいけないんじゃないか?という気がしています。

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私も、ものづくりをする身として共感する思いです。ものづくりができない時は、どんなことを考えていましたか?

仕事に追われていて、つくりたいということも考えられていなかったんですけれど。とにかく違うことをしているときも、手を動かしていないと。手を動かすことで次の物が生まれていくというか。手でしか考えられないようなところもあるので、手を動かしていたいなと思っていました。

手から生まれるものを、みなさんに届けていきたいですね。鎌倉に新しい工房ができたときには、ぜひみなさんにも訪れていただけるといいですよね。

そうですね。先ほど、お話したように「鍛金」という言葉は聞き慣れない言葉だと思います。鎌倉にできる工房では、鍛金でつくられた物がどうやって生まれたのかというのを見て知っていただけることも、作り手としては嬉しいことです。

WATOの小笠原さんのお話いかがでしたか?「鍛金」の魅力に触れられる時間だけでなく「作り方」の背景を知ることができたと感じています。新しく鎌倉には作品を手に取っていただける場所も誕生しますし、これからWATOで生まれていく作品がどのように育まれていくのか楽しみですね。

どうもありがとうございました!

 

ライター:藤本あや
鎌倉を拠点に、KULUSKA(クルスカ)というユニット名で活動している。自身でも「ものづくり」をする傍ら、全国各地を旅して出会った作り手やその地域の魅力を伝えようと、取材やイベントの企画・運営の活動も行う。湘南ビーチFMで放送中のラジオ番組「iichi presents 湘南ものづくりトーク」でパーソナリティを務めており、番組内で作り手の方に伺ったお話を元にiichiブログでインタビューを連載中。
この記事は2014年5月27日に作成されました

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